

工場・倉庫における鉄骨階段は、日々多くのスタッフや搬入物が往来する重要な動線であり、同時に雨風や結露に晒されやすい屋外設備です。今回は「(株)三鷹倉庫階段塗装工事」における施工前後の変化と、実施した全4工程の手順や技術的な意図について、分かりやすく解説します。
1. 施工前(着工前)の状況と課題
着工前の写真を見ると、屋外鉄骨階段全体に経年劣化の症状が顕著に現れていました。
- 赤錆の発生と塗膜の剥離 手すりの上部、接合部(溶接箇所)、踏み板の裏側やフレーム周りを中心に、広範囲で赤錆が発生しています。旧塗膜が劣化して防水性を失い、雨水や空気に含まれる水分と接触したことで酸化が進んでいる状態です。
- 放置した場合の危険性 鉄部の錆は表面だけでなく内部へと腐食を進行させます。長期間放置すると鉄板が薄くなり、最悪の場合は踏み板の抜け落ちや手すりの破損といった重大な事故につながる恐れがありました。
- 審美性の低下 建物の外観としても、サビが浮き出た階段は施設全体の老朽化した印象を与えてしまいます。
これらの課題を解決し、安全性と美観を長期的に維持するため、適切な修繕工事を開始しました。
2. 施工工程の詳細解説
本工事では、下地処理から仕上げまで以下の4つのステップで施工を進めました。
【工程1】足場組立 高所作業を伴う屋外階段の塗装では、何よりも作業員の安全確保と施工品質の均一化が求められます。階段全体の高さに対応した仮設足場を組み上げ、周囲への塗料飛散を防止するための飛散防止ネット(メッシュシート)を設置します。足場をしっかり組み上げることで、作業員の手元が安定し、手すりの裏側や段裏といった死角になりやすい箇所まで徹底的な施工が可能になります。
【工程2】ケレン(下地処理) 塗装の寿命を大きく左右する最も重要な工程です。ディスクサンダーやワイヤーブラシ、スクレーパーなどの工具を用いて、浮き出た既存の錆や剥がれかけた旧塗膜を徹底的に削り落とします。
- 密着性の向上(目荒らし):ケレン作業には、鉄部に微細な傷をつけて塗料が食いつく表面積を増やす「目荒らし」の役割もあります。
- 下地調整の徹底:サビが残ったまま上から塗装しても、内部から再びサビが繁殖して塗膜を押し上げてしまいます。手作業と電動工具を使い分け、健全な金属面(素地)を露出させます。
【工程3】錆止め吹付(下塗り) ケレン作業でクリアになった鉄部表面へ、防錆(ぼうせい)性能に優れたエポキシ樹脂系などの防錆塗料を塗布します。今回は施工効率と複雑な形状(鉄骨の組み合い部や網目状のステップなど)への均一な塗膜形成を考慮し、「吹付施工」を採用しました。吹付を行うことで、ローラーやハケが届きにくい微細な隙間や角部分にもしっかりと防錆塗料を行き渡らせ、酸素や水分の接触を遮断する強固な塗膜を形成します。
【工程4】上塗り塗装(仕上げ) 防錆塗膜を保護し、高い耐候性・耐久性と美観を付与するための仕上げ工程です。耐候性に優れ、紫外線や雨に強い塗料を使用し、適切な塗膜厚を確保しながら仕上げていきます。階段全体のトーンを落ち着いたダークグレー(チャコール系)へ塗り替えることで、重厚感と清潔感を両立させました。
3. 施工後(完成)の変化と効果
完成後の写真から分かる通り、着工前の状態から劇的な変化を遂げています。
- 美観の格段な向上 赤錆で荒れていた表面は平滑になり、落ち着いた美しいグレーカラーで一新されました。工場・倉庫全体の印象を引き締め、清潔感のある企業イメージに寄与します。
- 強固な耐候性と耐久性の獲得 錆止めと上塗り塗膜の重層構造により、雨水や紫外線、沿岸部の塩害などから鉄骨を長期間防護します。
- 長期的なメンテナンスコストの削減 腐食が進行して鉄骨自体を交換・補強する事態を防ぎ、定期的な塗り替えのみで構造体の寿命を延ばすことが可能になりました。
安全な作業環境を確保した上で、丁寧な下地処理と適切な塗布・吹付工程を経ることで、新築時の輝きと安全性を保つ仕上がりを実現いたしました。